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自己啓発セミナーに関する様々な事柄を思いつくままに
by seminar_blog
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自己啓発セミナーを法律で規制できるか?

 僕が運営しているサイト「消費者問題としての自己啓発セミナートラブル」では「特定商取引に関する法律」や「消費者契約法」をベースに自己啓発セミナーの問題点を指摘している。今の日本には自己啓発セミナーを直接取り締まる法律は存在しないが、セミナーの勧誘を商行為として見れば、十分に現行の法律で取り締まりは可能だと思う。自己啓発セミナーを批判する人達の中には、自己啓発セミナーを法律で規制・禁止しようと考えている人達がいる。自己啓発セミナーは、消費者問題(商行)としての問題以外にも、肉体的・精神的に被害(傷害)を与える可能性がある団体であるので、存在そのものを禁止してしまおうと考えるのは理解できる。

 自己啓発セミナー自体を法律で規制しようとする場合、いくつかの超えなければならない壁がある。
 まず、「自己啓発セミナー」の定義を明確にしなければならない。どこからが「自己啓発セミナー」で、どこまでが違うのか。定義付けをすれば、必ず定義逃れをして規制を逃れようとする団体は出てくる。
 憲法で保障されている「結社の自由」「思想良心の自由」を保ちながら、セミナー会社設立やカリキュラムの規制をどのように行うのかも問題になる。極論すれば憲法で保障されている為に、暴力団を組織する事やアナーキズムを唱える事自体は違法行為ではないのである。

 現実的な方策として、心理学的手法を用いるセミナーや精神被害を発症する恐れのあるセミナーを開講する際は、精神科医等の心を扱う国家資格を持ったプロを常駐させる事を義務付ける、という事が考えられる。現存する多くの自己啓発セミナーでは、実習中に何らかのトラブルが発生しても、それをフォローできる十分な体制が整っていない。セミナーを進行するトレーナーはマニュアルに沿ってカリキュラムを進めるだけであり、セミナーを手伝うアシスタントは上級コースの受講生や卒業生のボランティアである。彼等は、心を扱う上での特別なトレーニングは何も受けていない。仮に受講生が何らかの変調をきたしても、それを見抜ける能力は当然備わっていないのである。
 まず、法律で規制するならば、この部分だろう。「精神科医等をセミナー会場に常駐させなければならない」という内容の条文は必要になる。この場合も、常駐させなければならないセミナーの定義が難しいが、心理学の実験や心理学者や精神科医が進行するワークショップ等では、既に行われている事でありきつめの定義をしても問題は少ないと思われる。

 自己啓発セミナーの開催や自己啓発セミナーを主催する企業の設立を法律で禁止する事は、現時点では現実的ではないし、何でもかんでも法律で縛りつける社会は、個人的に住みやすい社会であるとは思えない。
 自己啓発セミナー問題は消費者問題としてもカルト問題としても、非常にマイナーな部類で、ミイラ事件やHOHの様に有名人が関わる等センセーショナルな話題しか表に出てこない。世論が動かなければ、セミナー自体を規制するのは難しいだろう。
 現行の消費者保護の法律を上手く運用すれば、自己啓発セミナー主催者の収入を減らす事は可能であると思う。自己啓発セミナーの勧誘方法は、違法行為を犯しやすい方法であるのは、僕のサイトを見ていただければ理解して頂けると思う。セミナー屋も商売である。儲からなければやらない。

 自己啓発セミナーの法規制を望むよりも、被害にあったと思う人、一人一人が声をあげていくのが望ましい。消費者個人が企業と戦うのは、非常にリスキーで難しい事であるが、現在、団体訴権(消費者団体訴訟)制度の導入を日弁連や多くの消費者団体が国会に訴えかけ、立法化させようとしている。団体訴権制度については以下のURLを参照のこと。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/2004_14.html

 団体訴権が認められれば、消費者が企業と戦いやすくなる。勿論、これは契約時の不法行為等で契約の無効性を主張する為に使われる事が主な目的になる為、肉体的・精神的被害の回復を求める損害賠償請求等にはあまり実効性は無いと思われる。しかし、今まで泣き寝入りを強いられてきた消費者が、多少なりとも被害を回復するとっかかりにはなると思う。
by seminar_blog | 2006-01-17 00:04 | law
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